これから開業する方、すでにしている方に役立つ質問を集めてみました。
是非、参考にしてください。

助成金って何?
助成金とは国からもらえる返済不要のお金のことです。大企業だけでなく、中小企業や個人事業主でも申請でき、受給要件を満たせば受給できます。
助成金の申請に当たり、事前に確認しておくことはありますか?
助成金の多くは、
① サロンが雇用保険に加入していること
② 労務管理に必要な帳簿類(出勤簿、賃金台帳等)が完備されていること
を受給要件としていますので、まずはここをしっかりと準備しましょう。

そのうえで、それぞれの助成金の受給要件を満たしているかを検討するとよいでしょう。
サロン開業時に活用できる助成金にはどんなものがありますか?
代表的な助成金を2つ紹介します。

1.受給資格者創業支援助成金(平成22年4月1日から制度変更)
受給資格者(雇用保険の失業給付(基本手当といいます)の支給を受けられる方)自らが創業して、創業後1年以内に雇用保険に加入した場合に、その事業主に対して創業に要した費用の一部を助成する制度です。

■主な受給の要件
次に挙げるすべての項目に該当する受給資格者(その受給資格に係る雇用保険の基本手当の算定基礎期間が5年以上あるものに限ります)であった方(創業受給資格者)が設立した法人等(※1)の事業主であることが受給の要件です。

①法人等を設立する前に、ハローワークに「法人等設立事前届」を提出していること
②法人等を設立した日の前日において、受給資格に基づく基本手当をもらいきっていないこと(支給残日数が1日以上であること)
③創業受給資格者が専らその法人等の業務に従事すること
※1法人等の設立とは、法人の場合法人の設立の登記等を行うことをいい、個人の場合は事業を開始することをいいます。

■受給できる金額
創業に要する経費:創業後3ヶ月以内に支払った経費の3分の1(支給上限・150万円まで)。上乗せ分:創業後1年以内に雇用保険の一般被保険者を2名以上雇い入れた場合に50万円。

■参考URL
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/b02-2.html

2.企業基盤人材確保助成金
創業や新分野に進出する際に、経営基盤の強化につながる人材を雇い入れた場合に助成を受けられる制度です。

■主な受給の要件
①新分野進出等に係る改善計画の認定を都道府県知事から受けていること(新分野進出等については事業を開始した日から6ヶ月以内に提出)
②設備等の費用を250万円以上負担すること(人件費は除きます)
③改善計画認定日から1年以内に、経営の基盤となる人材(基盤人材)を年収350万円以上で採用すること

■受給できる金額
1人140万円(基盤人材は5人が上限です)

■参考URL
http://www.ehdo.go.jp/gyomu/f-1.html

スタッフを採用するときの方法を教えてください。
①知人・友人からの紹介、②広告やサロンのHPで直接募集、③外部(ハローワーク)を利用した募集の3つが考えられますね。注意点は、「募集条件」と「どのような能力や知識、経験を期待しているか」を明確に示すこと。即戦力を期待して高い給与で採用したスタッフが思ったような成果を上げられず、オーナーとスタッフでトラブルになるケースはよくあるので、十分に気をつけてください。以下のポイントを参考にしてください。

■明示するべき募集条件
①仕事の内容、②雇用契約の期間があるか、ないか(通常、正社員であれば期間はなし)、③働く場所、④始業時間と終業時間、⑤所定労働時間(契約時間)を超えて働くことがあるか、ないか、⑥休憩時間、⑦休日、⑧給与、⑨社会保険(健康保険、厚生年金)、雇用保険の加入

■HPで募集するときの注意点
HPの採用情報の更新頻度が高いと、応募者がどの時点の内容を見て応募したかわからない場合があります。最新の労働条件(見込みの場合は、そのことも含めて)を正確に伝えることをお忘れなく!


役所への届出は必要ですか?
もちろん必要です。スタッフを抱えて開業するときは、労働基準監督署とハローワークに、次の書類を提出してください。

1.労働基準監督署へ
①労働保険関係成立届(スタッフを雇い入れてから10日以内)
②労働保険概算保険料申告書(スタッフを雇い入れてから50日以内)
③時間外労働・休日労働協定届(残業をさせる可能性がある場合)
※36(サブロクまたはサンロク)協定と呼ばれています。

2.ハローワークへ
①雇用保険適用事業所設置届(スタッフを雇い入れてから10日以内)
②雇用保険被保険者資格取得届(上記①の書類と一緒に提出)
なお、次の2つの要件のいずれにも該当する方は、雇用保険への加入が必要です。
a)31日以上の雇用の見込みがあること
b)1週間の所定労働時間が20時間以上であること

労働基準監督署で加入手続きをするのが労災保険、ハローワークで加入手続きをするのが雇用保険といって、この2つをまとめて「労働保険」といいます。
労災保険とは、スタッフの仕事中の事故、通勤途中の事故による負傷や死亡などに対して、スタッフやその遺族に必要な保険給付をする制度です。労災保険は、スタッフが1人でもいる会社や個人事業主であれば、加入が義務付けられています。その代わり、スタッフに万が一のことがあった場合でも、労災保険が補償をしてくれ、事業主の補償義務はその範囲で免責されることになっています。
なお、労災保険は正社員、アルバイトなどの雇用区分や待遇に関係なく、スタッフは全員加入が必要です。社長や役員、個人事業主(オーナー)は労働者ではないので通常の加入はできませんが、「特別加入」という制度を使って、労災保険に加入できる場合もあります。

採用面接での注意点を教えてください。
ポイントは、業務に無関係な質問や本人に責任のないことに対しての質問を避けることです。
下記は避けるべき質問の例です。参考にしてください。

①生まれてからずっと現住所に住んでいますか?
→いわゆる同和問題を連想させ、相手に不安を与えてしまいます。
②兄弟(姉妹)は何をしていますか?
→本人の責任でないことに責任を取らせようとする、基本的人権を侵害する考えにつながる可能性があります。
③実家は持ち家ですか? それとも借家?
→貧困家庭の人を排除しようとする差別的意図を相手が感じる可能性がありますよ。
④結婚しても仕事を続けますか?
→男女差別を助長する質問ととられかねません。

スタッフの給与を考える上で、最低賃金制度を守る必要があると耳にしたのですが。
その通りです。この制度は国が定めた制度で、国が賃金の最低限度額を定めて、スタッフにはその額以上を払わなければならないとしています。仮に、最低賃金額より低い給与をスタッフと合意の上で決めても、それは法律で無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされます。ですから、スタッフが仮に同意したとしても、最低賃金額以上の給与は支払う必要があります。

■最低賃金(地域別最低賃金)
産業や職種に関係なく、各都道府県内で働くすべての労働者とその使用者に適用される最低賃金です。ですから、各都道府県ごとに最低賃金が定められています。

■最低賃金適用額早見表はコチラから
http://pc.saiteichingin.info/table/page_table_map.html

■ここがポイント! 最低賃金の計算方法
1.時間給の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
最低賃金額以上の時間給を払う必要があります。

2.日給の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
日給を1日の所定労働時間で割った額が最低賃金額以上である必要があります。

3.週給、月給等の場合
賃金額から時間当たりの金額を計算し、最低賃金額(時間額)と比較しましょう。


スタッフを採用するときに利用できる助成金はありますか?
代表的な助成金を3つ紹介します。

1.試行雇用(トライアル雇用)奨励金
職業経験や技能、知識等の点で就職が難しい求職者を試行的に短期間雇用(原則3ヶ月)する場合に奨励金が支給されます。期間中は、正社員への移行や雇用を前提に、業務を遂行できるかどうかの適性や能力などを見極めます。

■主な対象者
①40歳未満の若年者等
②母子家庭の母等

■受給できる金額
対象労働者1人につき、月額4万円(支給上限期間:3ヶ月分まで)

2.若年者等正規雇用化特別奨励金(平成24年3月31日までの暫定措置)
ハローワークの紹介で、「年長フリーター及び30代後半の不安定就労者」、あるいは「採用内定を取り消されて就職先が未決定の学生等」を正社員として雇用する事業主に、一定期間経過後に奨励金が支給されます。

■参考URL
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/other34/seikiantei.html

3.特定求職者雇用開発助成金
対象は、新たにハローワークの紹介で、母子家庭の母、高年齢者(60歳以上65歳未満)、障害者などの就職が特に困難な人、あるいは緊急就職支援者を継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主です。また、65歳以上の離職者を1年以上継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主も対象になります。助成は賃金相当額の一部です。

■参考URL
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/c02-4.html

労働時間の長さは法律で決まっていますか?
基本的には決まっています。スタッフは休憩時間を除いて1週40時間、1日8時間を越えて働かせていけません。これを法定労働時間といいます。ただし、「時間外労働・休日労働協定届(いわゆる36協定)」を締結し、労働基準監督署長に届け出れば、法定労働時間を超えても労働させることができます。なお、スタッフ数が常時10人未満のサロンでは、特例措置として、1日8時間、1週44時間の法定労働時間が認められています。

単純に、1日8時間、1週40時間のスパンで考えると、完全週休2日にしなければなりません。しかし、理美容業などのサービス業で、すぐに完全週休2日を導入できるサロンは非常に少ないでしょう。ですから、例えば1ヶ月の期間中で、平均して1週の所定労働時間が40時間以下になるような、変形労働時間制を導入することを検討してもよいでしょう。

サロンを年中無休で営業していますが、注意点はありますか?
スタッフには、毎週少なくとも1回の休日を与えなければなりません。ただし、週休制がとれない場合は、4週間に4回の休日を与えることでも差し支えありません。なお、1日8時間勤務するスタッフの場合は、週2日の休日を与えないと、法定労働時間(1週40時間)を超えてしまいます。そんな場合は、勤務シフトをうまく組み、法定労働時間内に収めるようにしましょう。
残業が発生した場合、残業手当についてはどのように考えればようでしょうか?
スタッフの労働時間が、1週40時間、1日8時間の法定労働時間内に収まっていれば、残業代の支払いは不要です。ただし、法定労働時間を超えた場合は支払う必要があります。その場合、「うちは年棒制だから残業代は支払わない」などというのは、大きな間違いです。よくこうした声が聞かれますが、支払う必要がありますので、注意してください。
また、「固定(定額)で残業代を支払うということもできますが、その場合には「何時間分でいくらの残業代が支払われている」ことを、明示する必要があります。さらに、予め提示した時間を超える残業に対しては、追加で残業代を支払わなければなりません。
なお、「管理監督者」に該当する人であれば、残業代の支払いは不要です。しかし、「店長だから」とか「トップスタイリストだから」といった理由だけでは、その人を管理監督者として扱うことはできません。管理監督者にふさわしい「役割(職務・権限・責任)」、「待遇」がなければ、支払いが必要となります。
一方で、基本給や歩合給といった給与体系が美容業界では一般的ですが、歩合給の給与体系をとっているからといって、残業代の支払いを免れることはできないので、この点も注意してください。
有給休暇は、アルバイトであっても付与する必要があるのでしょうか?
あります。6ヶ月間継続して勤務して、全労働日の8割以上出勤した場合は、アルバイトやパートタイマーであっても、有給休暇を付与する対象となります。また、1回の雇用期間を1ヶ月や3ヶ月などと定めて採用した場合でも、契約更新により6ヶ月以上勤務したときは、所定労働日数に応じて年次有給休暇が付与されます。注意してください。
終業時間後にアルバイトのカットモデルを頼んで研修していますが、この研修時間は労働時間としてカウントすることになるのでしょうか?
早く一人前になってもらって大事な顧客を任せたい」との思いから、終業後にヘアカットなどの練習の制度を取り入れるサロンは多いでしょう。では、練習時間は労働時間になるのでしょうか。
終業後の研修や講習、サロン主催の自己啓発のための各種研修などへの参加は、「強制参加か」、「自由参加か」によって、労働時間になるかどうかが決まります。業務命令で強制的に参加させる場合は、労働時間となります。なお、自由参加と言っている場合でも、次のような場合は、労働時間としてカウントするべきでしょう。
1.業務遂行上、欠かせない研修内容である
2.業務遂行上、直接必要な研修内容である
3.サロン運営上、職場秩序の関係性からみて、参加が不可欠であって、全員参加することにこそ意味があるような研修内容である

そもそも、サロンのスタッフに対して、カットモデルを頼んで店内でカットの練習をさせることは、業務遂行上、直接必要な研修内容であると考えられます。ですから、本来は一律に労働時間としてカウントすべきでしょう。

退職者によるサロンの現スタッフの引き抜き行為があり、困っています。
退職者が、辞めたサロンからほとんどのスタッフを引き抜くことや、虚偽の噂を流してスタッフを勧誘するような行為は、自由競争の範囲を逸脱しています。不法行為をして引き抜きをした退職者には損害賠償責任が生じることもあります。
これまでの裁判の判例を見てみると、不法行為として認定される引き抜き行為であるかどうかは、次の点を重要な要素として、判断しているようです。

1.引き抜きの対象が元の使用者(サロンのオーナー)にとって、大量ないし、重要なスタッフに及んでいるかどうか
2.退職の対応が一斉ないし突然のものであるかどうか
3.在職中から勧誘がなされているなどの準備行為があったかどうか
4.勧誘をした者がどのような地位にあった者か
5.勧誘に虚偽の噂など相当性を逸脱する手段が用いられたかどうか
6.勧誘者が元の使用者(サロンのオーナー)に損害を与えることを意図していたかどうか

なお、職業選択の自由、転職の自由がある以上、現サロンのスタッフが退職してどの会社・サロンに移るかは、原則本人の自由です。つまり、競合会社への転職の禁止は、特別な約束がない限り、難しいわけです。しかも、それは、対象職種や対象となる地域、制限をする期間などの内容が合理的な場合に限られますね。さらには、それなりの地位(職務)を与えられたり、競合会社への就職禁止への代償という意味合いを含んだ給与などが支払われていることも必要となるでしょう。
ただし、オーナーにとっては、サロンのノウハウや顧客は、重要な財産です。もし、特別な約束がなかった場合は、転職後の守秘義務(例えば、顧客情報の不正使用禁止など)に関する誓約書の提出を求めるなどの対応をとることを考えましょう。

スタッフとの労働契約の解約には、どのような注意点がありますか?
労働契約を使用者(オーナー)側から解約することを「解雇」、労働者(スタッフ)側から解約することを「退職」といいます。ただし、解雇はそう簡単にできるものではないということを、認識してください。ポイントは以下の2つです。

1.解雇予告と解雇予告手当
まず、解雇には予告が不可欠です。つまり、どんなに腹に据えかねても、「明日から来なくていいよ」と言ってはならず、例えば「あなたは30日後に辞めてもらう」と予告することが必要となります。ただし、どうしても「明日から来なくていいよ」といいたい場合は、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払えば、認められます。
しかし、これらの解雇予告や解雇予告手当はあくまで「解雇の手続き」を定めたものです。この手続きを経れば、どんな理由でも解雇が認められるわけではありません。これを知らず痛い目にあっている経営者も多くいると思いますので、注意が必要です。

2.解雇には正当な理由が必要
解雇では、客観的で合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効になります。つまり、解雇予告の手続きがいかに万全であっても、その解雇理由が社会通念上相当であると認められない場合で、労働者(元スタッフ)に訴訟を起こされると、解雇権濫用で使用者(オーナー)が敗訴することになります。ですから、解雇はよほどの理由がなければできないということを、理解してください。

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