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美容エージェント視察 報告

2014年10月25日(土)
ソウルにある美容エージェントK&I社の元美容師でもある張氏から話を伺った。

レクチャーの様子

エージェントについて

K&I社は、アメリカの美容材料メーカーFarouk Sistem の製品を輸入してサロンに販売しており、販売契約エリアは韓国・中国・台湾・日本の4カ国で、主な取引先は韓国国内である。
韓国国内の美容室が取り扱う商材の大部分は海外ブランドで、国内メーカーで有力なブランドは「アモス」(アモーレパシフィック/韓国国内化粧品トップメーカー)ぐらいである。

エージェント

韓国理美容市場

韓国理美容市場に関する説明を、張氏からの資料を基に質疑応答を交えて説明を受けた。
内容は下記の項目である。
① 韓国国内ヘアサロン統計データ
・サロン規模(営業床面積)/スタッフ数別店舗比率
・サロン売上げ規模別 売上高・コスト
② 美容関連免許取得プロセス
③ サロン材料仕入れ現況
④ 韓国国内ヘアサロン概況
⑤ 韓国国内トップブランドサロン
6項目の詳細報告を行うが、JETOROソウルでの入手情報と重複する内容は割愛し報告致します。

①韓国国内ヘアサロン統計データ

サロン規模(営業床面積)/スタッフ数別店舗比率韓国国内約8.5万軒の美容ヘアサロンを営業床面積別で比較すると、9~15坪(30~50㎡)の店舗比率は72.8%と高い。次いで高いのは15坪~30坪(50~100㎡)の22.7%であり、大型サロンは全体の5%でソウル市内中心部に集中している。
また従業員規模別では約80%の店舗が1~4名のスタッフで構成されており、日本と変わらず小規模サロンが大部分を占めているのが現状である。

サロン売上げ規模別 売上高・コスト 2012年の実績をベースにした売上高規模別(ウォン/年)のデータ

店舗面積別のサロン数と比例して月間売上げ5 千万ウォン以下(500万円以下)の美容室数が全体の80%を占めている。
平均のスタッフ数も1.13人と韓国全土で見ると80%のサロンが個人店であると推測される。1億ウォン以上の売上店舗数は全体の9.2%の構成比ではあるが、売上高は2兆1,300万ウォンであり総売上高4 兆ウォンの55%の比率がある。この傾向はここ数年でより顕著な傾向となっており、大型サロンによる寡占化は進むと考えられている。

年間2千万ウォン以下のサロンに関しては月間売上高も非常に低く、休業・廃店処理がされてない店舗がカウントされていたり、個人店の売上げ申告に関する法制がゆるいことが要因として考えられる為、データとしての信頼度は低い。通常稼動サロンとしては2~5千万ウォンのラインから考えることが妥当と思われる。全体的にみて店舗あたりの売上げ・一人当たりの生産性は、日本のマーケットに似ている。
年間1~5億ウォンのサロン層は今後の成長を見込める若手オーナーも多く売上げボリュームもあり、各ブランドメーカーが活動に注力している。
年間5億~10億ウォン、月間1億ウォンを売上げるサロンモデルとして下表が説明された。

月間1億ウォン以上 スタイリスト別期待売上の表

ランク別の平均的な期待売上げも構成比率も日本の美容室で見られる数値に非常に近く、経営の考え方や事業計画等日本での考え方をそのまま持ち込んでも十分に対応できると思われる。

②美容関連免許取得プロセス

もともとは全てHAIR美容(美容師一般)資格に統一されていたが、スキン・ネイルサロンが増え、専門で従事する人数が多くなった為に2008年・2014年に資格制度上分類され現在では別の資格となっている。美容免許取得には一般的に専門学校にて勉強するが、学校の制度は決められておらず、必要な過程を選択肢勉強していくようだ。
専門学校の授業料は、おおよそ1ヶ月15万ウォン+材料費。近年は大学や大学院にも美容の専攻過程が設立され、資格取得後もスキルアップをサポートする環境が整えられている。

美容関連資格分類表

③サロン材料仕入れ現況

ヘアサロンにおける材料仕入れルートは大きく3つの方法に分類される。
1. エージェントからの仕入れ
2. 問屋での買付け
3. OEM生産
エージェントに問われる資質は、サロン経営に貢献できる提案力と製品を販売する営業力等、多くの要素が問われている。韓国市場においては担当者個人とサロンとの関係性が重視される為、担当営業がエージェントを変えるとサロンも変わることが多い。サロンへの訪問頻度は地域によっての違いはあるが、小・中規模のサロンには週2~3名のセールスが出入りする。
人口が多くサロンも密集している弘大(ホンデ)・河南(カンナム)地区の場合は、ほぼ毎日・複数の業者が出入りする。
問屋での取引の多くは小規模サロンが行い、品揃え・価格等が選択の決め手となっている。
OEM に関しては、当然のことではあるが品種やロット数の関係で価格の幅は広い。傾向としてはパーマ製品が多い。LEE CHUL HAIR やJUNOHAIR など有力フランチャイズサロンも、一部アイテムをOEM にて調達している。

④韓国国内ヘアサロン概況

韓国国内では、ブランディングに成功したサロンはほとんどがフランチャイズ化している。
現状のトップブランドサロンもフランチャイズ化されており、店舗数トップ3は、「リアンヘア」、「パクスンチョルヘアスタジオ」、「イーチョルヘア」の3ブランドで200店舗前後の加盟店を持つ。「リアンヘア」は直営よりフランチャイズが多く、ソウル地域以外に店舗が集中している。「パクスンチョル」はモダンな雰囲気をもつサロンで、1981年明洞の1号店がオープンして以来、韓国で最も有名な大規模サロンとなっている。「イーチョルヘア」は1988年にチョンダムドンに1号店をオープンし、ファッショントレンド発信力が強く常に注目されるトップサロンである。

トップ10ブランドの中で、唯一直営店舗のみで運営されているのが「JUNOHAIR」で、独自の教育システムと“カンユンソル”代表を中心とするスタッフの結束力が有名である。その「JUNOHAIR」のカンユンソン代表をサポーター(アドバイザー)として、教育制度を取り入れ2011 年にオープンしたのが「チャホンアルト」(3店舗)である。チャホンオーナーは、テレビ出演(SBS“スターキン”)でスターデザイナーになった、注目のサロンである。

分類表

韓国国内トップブランドサロン

全ての項目に関して、今までの項目と同様に日本の美容マーケットと酷似した状況にある。美容マーケットに限らず人口構造や経済・社会状況も似ており、マーケティング・サロン経営手法・教育制度等、加工せずに適用できると思われる。

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