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現地美容室視察 報告

2017年9月11日(月)・12日(火)・13日(水)
現地美容室7店舗の視察をおこなった

Number76について

若者が集まるサマセットエリアのORCHARD GATEWAY内に位置する店舗には、セット面22台、シャンプー台11台と広い待合スペースを有している。スタッフは21名(うち19名がローカルスタッフ)が在籍。
日本人オーナーのDAISUKE HAMAGUCHI氏が「アジアでローカルサロンを創る」を信念にマレーシアでのサロン経営をスタート。現地スタッフを日本式のトレーニングで育成しながら、2016年にシンガポールに初出店。現在マレーシア4店舗、シンガポール1店舗、東京1店舗 計6店舗(スタッフ120名)を展開している。

メニュー料金の目安

顧客層

20代~30代のローカルカスタマー(内訳:マレーシア人80% シンガポール人20%)が中心で、特徴としては、自宅でのケア習慣はなく、サービスを受けにサロンへ行く習慣が定着している方、保守的な要素は少なく、自分の好きなことをやりたいと思う方が多い。ほとんどのお客様はカット+カラー+トリートメントをオーダーする。

当サロンの強み

カラーはブリーチやハイライトを使って明るさや色合いの変化を大きく見せSNSでの写真映えを意識する、所謂「フォトジェニックなカラーデザイン」を得意としている。ローカルに向き合った質の高いサービスを提供することを意識しており、特にトリートメントメニューは「自宅でのケア」をセットで提案するなど、ここでしか体験できない商材やメニューが付加価値となっている。

集客方法

SNSの活用が日本より活発で、サロンのインスタグラム・フェイスブックにフォトジェニックなカラーデザインなどを掲載し、集客に活用している。現在当サロンのインスタグラム、フェイスブックのフォロワー数が7万人以上で予約率98%(うちネット予約 約60%)となっている。

スタッフ教育

シンガポールでは美容師の社会的地位が低く、資格も不要なので「誰にでもになれる職業」という意識があるため、人材集めが大変で応募する方の年齢も16~30歳とバラバラ、当初は入社後の定着率も低かった。 しかし「皆でその国を代表する美容師、サロンになろう」というコンセプトのもと、日本式の技術トレーニングを取り入れ(SP26項目、FW27項目など技術トレーニングに細かいチェック項目を採用)、美容師として練習することの大切さをスタッフ全員でシェアすることを徹底した。するとローカルスタッフが結果を出しはじめ(女性ローカルスタイリストは売上約600万円/月にまで成長)同時にスタッフ定着率も上がった。今後はローカルスタッフを育てるための技術アカデミーを創りたいと考えている。

Number76の店内の様子

JERIC SALONについて

シンガポール人のJERIC SEE氏と日本人スタイリストの中村氏が共同経営するサロン。現在シンガポール4店舗、日本4店舗、中国4店舗の計6店舗を展開している。
取材を行ったION ORCHARD店には7名のスタッフが在籍し、日本人スタイリストは2ヵ月間に5日程度勤務している。営業時間は10:30~21:30。

メニュー

当サロンの強み

お客様が来店された時に目に入る外観、香り、照明、インテリア、色使い、小物、提供するお茶の種類など、特別感を感じてもらいながらリラックスできる空間をつくり、そのうえで会話の質を高める努力をしている。日本人式のホスピタリティ精神を大切にし接客を最重要視している。日本人スタイリストの技術を体験できることも強みになっている。

取り扱いブランド

メインブランドはAVEDAであるが、それぞれのお客様にあったより良いサービス・技術を提供するために複数のブランドを取り扱っている。商品ブランドの違いによるメニューの価格差は設定せず一律の料金で提供している。それぞれのお客様にあったメニュー提案、商品選びをすることで、「最良の物を良心的な価格で体感してもらいたい」というジェリックの考え方・コンセプトが伝わる。

JERIC SALONの店内の様子

shunji matsuoについて

オーチャード通りに面した高島屋デパートに隣接する二アンシティーに店を構える。創設者の松尾俊二氏が日本やアメリカ、ヨーロッパでの経験を経て1999年にシンガポールにサロンをオープン。現在はシンガポールに9店舗、ミャンマーやインドネシアなどにも展開している。全体としてはファミリーをターゲットとしたカジュアルサロンで、客層は幅広いが、サロンごとに顧客と価格のターゲットを絞りコンセプト(若者向けトレンド系中価格帯、セレブ系高価格帯など)を変えた見せ方をしている。高いホスピタリティと充実した技術サービスを提供している。

メニュー

カット料金は60~85S$でシンガポールでは、中~高程度。人気のメニューはヘアカラーで、ほとんどの顧客がカットと合わせて注文する。富裕層へのサービスは500~800S$程度にもなる

顧客層

中~高所得者層のローカルカスタマーが中心(内訳:シンガポール人80%、白人5%、日本人5%、インドネシア人富裕層5%)

集客方法

プロモーションはSNSや日本人向け雑誌に掲載。特にSNSを使った広告活動に力を入れており、モデル写真や動画にはプロのフォトグラファーを使うほどビジュアルのクオリティにこだわっている。(他民族、他言語の国で視覚的なアプローチがより重視される)

shunji matsuoの店内の様子

AUBEについて

駅から直結の好立地 オーチャード通りのショッピングモール「wheelock place」に位置し、オープンして9ヶ月となる。セット面は10面、シャンプー4台を有する。ウッド調の落ち着いた癒しの雰囲気で、施術スペースのほかに撮影スペースもある。スタッフは日本人スタイリスト6名でアシスタントの在籍は無く、1人につき、1人のスタイリストが担当し、来店後のシャンプーからカット、カラーリング、パーマ、仕上げのスタイリングまでをすべて担当者が責任を持って対応している。今後マリーナ地区での新店舗オープンも決まっており、マレーシア、香港、シドニーでもオープンを予定している。

メニュー料金の目安

料金は、客単価は約130$【¥10,920 ※1$=\84】、カット70$【¥5,880】、カラー70~100$【¥5,880~\8,400】、パーマ100~170$【¥8,400~¥14,280】、トリートメント65~160$【¥5,460~¥13,440】。
カラー比率は30~40%、一般的なカラーの他、ノンブリーチカラーや寒色系カラー、ペールカラーと様々な要望がある。パーマ比率は20%そのほとんどがデジタルパーマと国内よりやや高い利用率で、トリートメントの利用比率も国内より高い。日本人の髪質とシンガポールの水が合わず髪の手触りが低下するためトリートメントが必須のようである。

顧客層

当初現地在住の日本人のみをターゲットにしていたが、その高い技術は口コミやSNSで広がり、現在は日本人:ローカルは約50%の割合である。

当サロンの強み

スタッフはすべて日本国内の海外勤務希望者から選出しており、日本で実績を積んだ、高い技術力を持つ者が在籍している事が最大の強みとなっている。実際店長の田村氏も銀座の有名一流サロンで修行を積み新たな活躍の場を求め、シンガポールへ渡ったという。
現在は日本人のスタッフのみだが、今後は現地スタッフの雇用も検討している。

集客方法

SNSの影響が強く日本人のファッションスタイルが好きな人から支持されている。
また、フリーペーパー広告は費用も安く、月間100人の新規客を獲得したこともあり費用対効果が非常に有効的な媒体だと感じている。

スタッフ教育

有名外国人カラーリストのセミナーや、カット講習にも参加し、店長の田村氏自身がセミナー講師としても活動しており、積極的に勉強している。また、他のシンガポール在住の日本人美容師とも交流がある。

AUBEの店内の様子

ToliVについて

アラブストリートやラッフルズホテルにも近く、地元民と観光客が混在するBUGIS地区の路面店。マネージャーのエリック氏と売れっ子ヘアドレッサーのミシェル氏の夫婦で営むサロンにはセット15面、シャンプーが3台(シンガポールではスタンドシャンプーが一般化しているため3台で十分)、電気式ウォーターヒーターを採用し省スペース化を実現している。2017年9月に2店舗目をオープンしたが人員確保が難航し、現在は1店舗で営業している。

メニュー料金の目安

顧客層

自分に投資することができる働く女性が中心(約80%)で、人種比率はシンガポール人 約80%、白人 約10%、日本人 約10%。
カット+カラー+トリートメントのオーダーが約70%を占める。トリートメントのみのオーダーも約15%。(カラー顧客に関して女性で3週間、男性で1週間のスパンで再来される方もいる)

当サロンの強み

他店での取扱いが少ない「AVEDA」のサロン。「顧客にとって最高のサービス(デザイン・メニュー・商材)を提供すること」をモットーにしており、カラー施術の見直しやサロン内クリーン化の意識も強い。
BUGISエリアは近くに住宅もあり、ターゲット顧客とする働く女性などが多いため、利便性が高く再来につながっている。またショッピングセンター内サロンではなく、路面店であるため、賃料や修繕費等のコストを抑えることができる。

人材

既存顧客に提供するサービスを向上させることにより、口コミでの集客及び再来率強化を行っている。紹介客に対して、値引き、ノベルティ等の配布などの特別サービスは行っていない。

スタッフ教育

日本と同様リクルーティングはシンガポールにとっても大きな経営課題であるが、元同僚など、スタッフからの紹介で採用するパターンが多い。

ToliVの店内の様子

S.A.D'S hair design singaporeについて

日本人オーナー兼スタイリストの秋道氏が滋賀県で2店舗の出店を経て、2016年末に自己資本で開業した海外展開の第1号店。オーナーを含め日本人スタッフ2名で店舗経営を行う。店内にはセット2面の他、1人用の個室もある。定点サービス(ひとつの場所でカット、カラー、シャンプー)が好評であり、完全予約制でリピート率も高い。

メニュー料金の目安

客単価:平均で$250程度。

顧客層

当初はほとんどが現地顧客(シンガポール人、白人)であったが、現在は日本人比率が40%程度。30代の女性が中心で40~50代の方も口コミで徐々に増えている。現地顧客は髪・頭皮がオイリーな方が多く、特に白人は自分で頭を洗わない方も多いのでシャンプー・ブローだけのオーダーもあるが、そこで腕を評価され、その後カットなど他メニューをオーダーする方もいる。また髪色に対する職業的な制約がないこともあって、ブリーチを使ったビビットなカラーを好む。男性顧客には韓国スタイルがトレンドで2ブロックスタイルを希望するケースも多い。

当サロンの強み

日本人スタイリストによるホスピタリティ溢れる日本式サービスを提供している。特にシャンプーに力を入れており、20分程度頭皮マッサージを加えたスパサービスに近いシャンプーを標準シャンプーとして提供している。またカラー比率が約40%と高く、合わせてトリートメントをおすすめしている。トリートメントはサービス料金が$150~200と非常に高単価であるが全体の30%のお客様がトリートメントをオーダーする。

集客方法

口コミが基本で、地元紙などに一部出稿している。日本のホットペッパービューティーにあたる「ビューティーアンダーカバー」という現地で有名なWEBサービスがあり、費用が安い割に効果があると聞いているので興味を持っている。

スタッフ教育

日本と同様リクルーティングはシンガポールにとっても大きな経営課題であるが、元同僚など、スタッフからの紹介で採用するパターンが多い。

S.A.D'S hair design singaporeの店内の様子

kimrobinsonについて

香港で有名なカリスマ美容師キムロビンソン氏が2007年香港で自身の名前のプライベートサロン「kimrobinson」をオープン。ついでシンガポールに支店を出店。シンガポールでNO.1といわれるほどの高級サロンでオーチャード高島屋内に立地(賃料 $150,000 /月)。スタッフは60名(スタイリスト21名、カラーリスト7名)。セット面は45面、シャンプー台は2箇所(14台)、その他VIPルーム、メイク専用ルームもある。
当サロンは、キムロビンソン氏がパリやロンドンで修行後「ハリウッドのような華美なヘアスタイルはアジア女性には向かない」と思い立ち、西洋人を真似るのではなく、アジアン・ビューティを追求するために開業。自然な仕上がりで、長く髪型をキープできると言われる“ドライカット”のソフトでフェミニンなヘアスタイルが評判となり、数多くの芸能人や有名人が訪れるサロンに。今ではヘアスクールも開校している。

顧客層

25~50歳までの幅広い年齢層に支持され芸能人やロイヤルファミリーなどVIP客も多い。男女比率は女性85%:男性15%。
周辺には多くの日系サロンがあり、日本人顧客はそちらに流れている印象とのこと。

当サロンの強み

高級ホテルや、画廊を思わせるようなラグジュアリーかつ上品で非日常感を感じるサロンデザイン。大人の女性、セレブをターゲットとした色使い。廊下からアリの巣ように複数の個室につながっており、一見しただけでは全体の広さが掴めないほど。シンガポールの一等地に45面のセット面を持つ大規模な店舗で、日本では考えられないほどの高額な賃料でも経営できる売上げをあげている。特にキムロビンソン氏のカット料金S2,000(約17万円)で、日本と比べ、価格帯の幅が大きい。全体のカラー比率が50%を超えており、ネイルサービスも提供している。またシャンプーはヨーロッパ方式を採用しており、シャンプー台の上で寝姿勢でマッサージを行いながら20分程度のシャンプーを行う。

集客方法

SNSを活用しているほか、PR会社とタイアップして週末に美の体験会を実施したり、サロンワークを雑誌に取材してもらうなどさまざまな方向からアプローチしているとのこと。

スタッフ教育

スタイリストになるまで9つのレベルが設定されており、試験ですべてクリアしなければならない(4~5年程度かかる)。すべてのスタッフがスタイリストを目指せるわけではなく、一部のスタッフのみ選抜されスタイリストを目指すことが許される。
スタイリストの初任給$3,000/月程度 給料はベースが10万円程度で決まっており、それより上はインセンティブを持たせるため、歩合性で売上げの40%がプラスされる仕組みとなっている。スタイリストの売上げは平均300万円/月。売れっ子のスタイリストでは600~700万円/月にもなる。

kimrobinsonの店内の様子

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