ベトナム美容業界レクチャー(2)
2012年10月8日(月)
ホーチミン市Sang Tao社オフィスにおいてベトナムの美容学校の現状、および教育体系についてレクチャーを受けた。
ベトナム美容学校『Sang Tao』の運営と現状
1. 学校の沿革
8年前に設立された学校でベトナム国内では有数の人気を誇り、ヘア、ネイル、メイク、マッサージをカリキュラムとして指導している。
4年前にオールグリーン社が資本参入して現在に至る。
オールグリーン社は環境関連資材を販売する商社であったが、美容学校経営を通じて化粧品の商社も始めた。つまり美容学校を卒業した生徒が経営するサロンに『化粧品』を販売している。
あくまでも商社の形態はそのままで、業容を拡大する目的で資本参入した模様。
2. 美容学校の規模や形態
講師は大学やメイクアップの著名な講師で構成。総勢24名の先生で構成。
大学の講師は師範大学の講師で教員の「教え方」を指導教育している。
マッサージコースはアメリカの学校と提携している。
先述した通り、当学校はベトナムでは有名な美容学校。
主に大学に入れない高校生が入学してくる。
現在120名の学生が在籍。
指導内容は日本の様な「物理学」などの学問的な科目はなく、即実践できる指導内容となっている。
授業形態は週3回、1回3時間という授業形態。従ってヘアのコースの場合は198時間の総授業時間となる。
卒業するときには卒業試験があり、合格しない場合は不合格なところだけさらにもう1回授業を受けることになる。
(但し、その場合は授業料は不要)
授業内容は実践的な内容で構成されている。
3. 美容学校経営と化粧品卸の両事業について
- オールグリーン社は「美容学校経営」と「化粧品卸商社」の両事業を行っているがベトナムでは決して珍しい形態ではない。
(ベトナム国内で10校の美容学校が存在するが、うち4校が商社を経営している) - ホーチミン市とハノイ市に事業拠点をもち、支店が別に2つある。社員数100名。
- 販売先は美容室、支店、代理店の3チャネル。仕入れは海外(ヨーロッパ、マレーシア、シンガポール、アメリカ)からの輸入
- 取扱商品:Unique(マレーシアから輸入)、Black(アメリカから輸入)、CariaRina(スペインから輸入)など
- ベトナムでの商材は韓国製が多い、日本の商材を扱いたいと希望するも高価すぎて扱えない。
- 今後の事業展開については2014年にはラオス、カンボジアにも美容学校を設立し事業を拡大していく計画という。
3. 美容学校経営と化粧品卸の両事業について
『日本のメーカーには興味を持っており、サンプル提供も含め是非協力して欲しい。』
『ベトナムは日本から 50 年は遅れている。さまざまな協力をお願いしたい』
Sang Tao 美容学校に対する質問
Q : 生徒の勉強(1クール)はどのくらいの期間で一通り出来るようになるのか?
A : ヘアは6ヶ月、ネイルは3ヶ月、マッサージは6ヶ月かかる。ほとんどが全くの素人から始める。
Q : 入学時期は?
A : 毎月入学できる。
Q : 学費はどれくらいか?
A : ヘア(1200ドル)、ネイル(450ドル)、マッサージ(500ドル)、化粧(600ドル)かかる。
Q : 大学に行けなかった人が多く来るとのことだが、大学との学費の差額はどれくらいか?
A : 大学は、500ドル~600ドル/年間かかる。
Q : ヘアの授業料が高い理由は?
A : ヘアは週3回、1回3時間の授業。ヘアは一番難しいので高い。
Q : 卒業後は、どのくらいの割合で独立し、就職するのか?
A : 7割が独立し、3割がサロンに就職する。
Q : 先生は大学から来ていると言っていたが、大学の先生は何の科目を教えるのか?
A : 基本的な教養や技術。
Q : 週3回、どのような内容を教わるのか?
A : 週3回の科目は、カットなど自分で選べる。
Q : 卒業する条件は?卒業試験みたいなものはあるのか?
A : 各科目ごとにマスター試験があり、ひとつひとつクリアーして次の科目に進んで行かなければならない。
Q : 試験で受からなければ、追加で学費が必要になるのか?
A : 2回までは無料だが、3回目のやり直しには学費がかかる。
Q : 7割が独立し、3割が就職という事だが、これでは既存サロンの業界が人手不足にならないのか?
A : 田舎から来る人が多く、卒業後に田舎に帰って小さなサロンを開くので、サロンの数が増える事で人手不足とはならない。
Q : 独立したサロンは材料はどこから買うのか?
A : 学校から買うのが安く、学校自体が仕入先になっている。
Q : どこから輸入しているのか?
A : 主にヨーロッパで、後はマレーシア、イタリアなどがある。日本製は探している。
学校と輸入商社は、事業の両輪になっている。
Q : ホーチミンだけでなく、田舎にも材料を売っているのか?
A : 輸入販売の会社は、「オークリートゥーイ」という会社で、コーイ理事長は、この会社の社長でもある。会社の事務所は、ホーチミンとハノイの2箇所にある。2010年には、アメリカから「Black」を輸入し、「ユニーク」はマレーシアから輸入している。2013~14年に、ダナン省に支店を作ろうと思っている。会社はイベントなどもやって商品を紹介している。田舎で事務所の手が回らないところには、代理店経由で出荷する。
Q : 美容学校を経営しながら、販売代理店をやっているところは他にもあるのか?
A : 美容学校は10校あるが、販売もやっているところは4校。そのなかで、SangTaoが一番大きい。
しかもこの業界で長い経験がある。多くの独立したオーナーが材料はこの学校から購入している
Q : 日本の美容学校は知っているか?
A : TopHairは有名だが、成功していない理由まではわからない。
SangTao美容学校は、有名だから買いたかった。教えている先生達もみな有名な先生が多い。学校の経営は素人だったが、化粧品を売る為に買った。
Q : (今回の訪問先は、頭髪化粧品のメーカーの人だが)現地での日本製品のイメージは?
A : 日本製は有名だが高くて買えないので薦められない。日本の化粧品は少ない。いいものだが、とんでもなく高い。
しかしながら、安全である。恐らくマーケティングが弱いのではないか?ベトナム人は日本の製品を知らない人が多い。
Q : 卒業生7割の独立する人達のうち、どれぐらいが失敗してしまうのか?
A : はっきりは判らないが、ほとんど失敗はないと思う。