中国美容業界事情レクチャー(3)
2011年9月17日(土)
タカラベルモント上海 関根 明 氏・李 氏
中国美容業界の現状
タカラベルモント上海は今年の5月から法人として本格的に始動しました。(2009年に事務所を設立。昨年1年かけて700軒のサロン調査を実施)上海では現在、日本からの独自でサロン開業は不可能に近い状態で、中国の資本が入らない限り難しいのが現状です。日本のマーケットはすでに成熟した市場ですが、上海は法律があるような無いような中で、労働者が手厚く保護されつつも、インターネットの普及率が高く、今まで日本でやってきたアプローチの方法では全く通用しません。ここ5年間で中国のサロンの展開として、チェーン化している傾向にあります。特に都市範囲での低料金が多く、使う道具(器具)に影響があります。日本の店舗改装は今や7~8年周期になっていますが中国では3年。家賃がすぐ上がってしまいすぐに償却しないと継続できない現状です。
上海サロン事情に関する質問
Q : 日本からの出店が難しい理由は法律的なことなのか?
A : 自国の保護が大きいと思われますが、上海市内のサロンが増え過ぎて、また昨年大きな火事があり消防法からも規制が厳しくなっている。(特に南京西路周辺)
Q : インターネットによる集客効果はどうか?(特に新店オープンなど)
A : サロン評価の書き込みは多い。特に専用サイトがあり、それをみながら口コミのように広がる。
Q : 日本の接客や美容技術は中国からみてどのような魅力があるのか?
A : 設備や商品はその影響もあり、特にサービスや教育に関しては日本からマネージャーを呼びたいとオファーがあるくらい。しかし、器具などいいものはすぐに真似る。だから1店舗はいいがそれ以降の展開時にはコピー品が並ぶという現実。
Q : 日本では各メーカーが教育も含めてフォローしていますが、中国ではそういう仕組みはないのか?
A : とにかく2~3年もてばいいという意識だけ。
Q : 日本の雑誌やインターネットからの情報収集をしつつ、ヘアデザインはファッションとのギャップがあるが?
A : かなりレベルは上がってきているし、中国のスターを育てはじめている。日本との比較で「何年遅れ」という言葉は近い将来なくなるのでは。
Q : 日本では積極的にブログを活用しているが中国ではどうか?
A : サロンに来るお客様の携帯電話に定期的にサロン情報を配信したりポイント制だから今どれくらい使っているとか・・・。ただし、サロン独自のホームページは意外と少ない。
Q : 中国には富裕層がたくさんいて、サロンに来る年齢層は若く、既婚者も多い。そうした中でのホテルでのブライダル需要(規模)はどうなのか?そこに進出するのも難しいのか?
A : 中国もセレモニーはとても大事にするが、ブライダルに対する考え方は日本と全く違う。中国は戸籍を入れるのが結婚であり、それから一緒に住んで1年後に結婚式をする。その間に記念写真を相当数撮り、式の時にそれを披露するのがこちらのやり方。
Q : さきほどのエイキグループでのシャンプーカットでいくらくらいか?
A : 5~60元。日本とは違う形態を持ち、週に2回シャンプー&ブローに行く(約20元)、生活密着型美容がある。トレンド型ではない。
Q : リピート率はどれくらい?
A : 近所の人たちが集まり、夜11時までやっている。家に設備が無いわけではなく、昔からの習慣が残っている。女性スタッフが多いというデータはほとんどシャンプーをやる人たちを示している。中国のサロンオーナーは90%男性で、従業員は男女半々だが、スタイリストで女性はほとんどいない。
Q : そんな難しい環境の中で、日本のサロンはなぜ上海に店を出すのか?
A : やはりお金だけではない夢を追いかけたいのでは。またマーケットの可能性を感じていることから、今後、法律や制が変ることを見据えた投資とも言える。
また、他業種や資本提携などと組んで教育(ソフト)を中国に売ることもありうる。