ミャンマー美容業界レクチャー
2013年10月10日(木)
ヤンゴン市内で1968年からサロンを経営する日本人女性フジコ・ツネヨシさんのサロンFUJIKO BEAUTY CENTERにおいて、ミャンマーの美容業界の現状、同サロンの運営や人材育成と女性たちの意識についてレクチャーを受けた。
JETRO(ジェトロ/日本貿易振興機構)
ジェトロは、貿易・投資促進と開発途上国研究を通じ、日本の経済・社会の更なる発展に貢献することをめざして、日本企業の海外展開支援、外国企業の日本への誘致、日本の通商政策への貢献、開発途上の支援と研究を行っている。
店舗プロフィール
FUJIKO BEAUTY CENTER
42-D NEW UNIVERSITY Aves. Road Shwegondine Bahan Tsp,YANGON
www.reijutokyobeauty.com
○フジコ・ツネヨシ氏(オーナー)
1967年にミャンマーへ渡り、1968年に美容室をオープン。
当時はネ・ウィンによる独裁政権(1962〜1988年)そのあと軍事政権となり、何も物がない時代、粗悪品でも使用していた。現在は輸入品などが入ってくるようになり、これからは環境や髪の毛にやさしいものが求められるだろうと語る。
○ユキコ・チィ氏(マネージング・ディレクター)
フジコさんのご息女。1982年より何度も来日し、カット、アップ、メイク、エステを習い97年に黒川氏(美容室ザッツ/代表)と出会いカット&カラーを学ぶ。1991年日本の服飾デザイン学校を卒業。2000年にミャンマーで美容学校をはじめる。
- スタッフは女性のみで勤続10年以上の人が多く定着率がよい。
- 顧客は高所得者層が多い。
- サロン所在地のBahan地区が人気になりテナント料が高騰、政府の介入が入る。NYより高くなっている傾向。
- 顧客リストは住所と名前の記録のみ。
- 集客方法は雑誌広告。1ページ1万円(1ヶ月)
- スタイリスト給料:固定給+歩合(トップスタイリストは売上の 25-30%)
- アシスタント給料:最初から一定の給料を支払う。
同サロンの場合は他業種と比較して給料が高い。よって定着率が良い。 - 取り扱いメーカー
アルファパーム(伊)、アリミノ、ラベル(独)、ダーマロジカ(エステ) - 昔からあるメーカーを選ぶか、タイに行った時に売れているものを確認して仕入れてくる。
- 客単価 2,500円~3,000円
- 来店客数 月1,000人以上(週1~2回来る人もいる)
- カラーするお客様が多く、パーマも薬剤の質のいいものが入るようになり、かける人が増えている。
- 店販は美容師が勧めると購入していく。
特に男性はその場でスタイリングに使ってみせると購入していく。
(情報源が不足しているので、美容師の存在が大きい)
メニュー価格
- カット:1,000円(現地通貨10,000チャット)
- シャンプー 1時間。カット料金より高く設定し別料金にしている。
- カラー:1,300円(材料費別途1,300円)
(長さによりプラス1,000円) - ストレートパーマ:10,000円
美容学校 TOKYO REIJU Beauty Technical School
- 期間 4ヶ月
- 学費 合計 20万円(10年前は2,000円からスタート)
- 立ち方、掃除のやり方から教える。
- 日本とは教育が異なり、基本的な事を教えてから美容の技術や知識の教育に入るので時間がかかる。
- 現地の人はきれいなモノ・コトが好きで美容は簡単にできると勘違いして入ってくるが入学後、こんなに難しいとは思わなかったという人が多い。
- 今までで男性の卒業生は3名。
- 卒業後は勉強熱心だった生徒を同サロンで1〜2ヶ月見習い、同サロンに入店希望があれば正式に雇用。
- ビルマ人が中国人とタイアップしている美容学校が他にある。
教材はすべて手作り。服飾の歴史やヘアカラー理論、毛髪科学等すべてそろっている。お寺の極彩色を子供の頃から見ているので感覚がいいが、 4ヶ月以上だと飽きる人もいるし、経済的にも厳しい。衛生面などもきちんと教えている。
ミャンマーの美容業界
- サロン軒数(従業員がいるところ)
- ヤンゴン:500軒、美容師人口2,000人
- マンダレー:400軒、美容師人口1,600人
- ネーピドー:80軒、美容師人口320人
- 開店許可は役所へ届け出る。自宅でやっている人は届け出していない場合が多い。
- 美容学校卒業後すぐに美容室をオープンする人もいる。他のサロンから技術者を引き抜いて運営しているので、その技術者が辞めてしまうと閉店せざるを得ない場合もある。
- サロンの数やグレードは多数あるので自分の所得にあったサロンを選べる。
- 人種によりくせ毛が多いので特に若い人にはストレートパーマが人気。
- 安いサロンではストレートパーマが200〜300円でできるところもある。
- 大人はほとんどパーマをかけている。
- エージェントは毎週来るところと、注文したら来るところがある。
- メーカーの販促の新製品が出たら発表会の招待状が届き、デモンストレーションを見せて売り込みをしてくる。(シュワルツコフ)インストラクターは香港、マレーシア、シンガポールからの派遣。日本人もいる。
ミャンマー女性たちの美意識
- 髪の毛の長い女性が美人といわれる。
- おしゃれが大好きである。
- 年に1度のお祭りでは目立つため自分のスタイルで行く。
- 髪の毛の色をいろいろな色に染めて楽しんでいる。
- 髪の傷まないものを欲している。
- モデルになりたい人が増えている。(テレビ番組の影響)
- 10年前は美容師になりたい人が多かった。
- 若い人はインターネットやテレビで情報を仕入れている。