現地サロン情報交換会
2019年10月15日(火)
現地美容業界関係者と日本側が双方の業界における課題等について積極的な情報交換をおこなった。
CLEO hair international/リップマン久実氏
ベトナム情報
- ベトナム語は8音階存在し発生が難しくスタッフとの共通言語は英語を使用
- ベトナムを中国に例えるなら、北京がハノイで上海がホーチミンのイメージ。ハノイは閉鎖的で政府も厳しい。1年間住んでいたが日本人であるが故の苦労が多かった。四季がありデザイン感覚にも優れているようではあるが湿気が多いなどの気候の問題もあり出店はホーチミンにすることに決めた経緯がある。
- ベトナム人は一日8人カットするなど努力家でカットモデルはfacebookで募集しているがすぐに集まる。
- ファッションは韓国系でタイト。コンサバ系はあまりいない。イメージワードとして日本人は「カワイイ」、韓国は「セクシー」でファッションは韓国色が強い。日本はかたいイメージでベトナムにいる日本人もロングな髪に長袖のファッションなど、すぐにわかる。
- ベトナム人は日焼けをよしとしない(労働者=日焼けのイメージから)そのため日焼け止めには気を使っている。
- ベトナムは平均年齢28歳のため特に女性は大人女性への憧れが強い。性格としてはダイレクトに言いたいことを話す。そのため、独立出店への意識も高い。教えている側にも問題はあるがスタイリスト=ゴールだという認識。早く自分の店を持ちたいという意識が強い。
- ベトナムは社会主義国のため、政府の規制が厳しい。例えばYouTubeでも肌の露出や暴力的な表現が少しでもあればすぐに削除される。ミルボンさんのヘアショーでも政府の人間が3名程きてチェックをしていた。
- 今後5年でベトナムの環境は大きく変わる傾向にある。今は車でもメイドインベトナム、最初から最後までベトナム製のものが無く、こういったものができる事で強みとなり生き残ることができる。その中で現在軽自動車が増えておりバイクに代わる存在になることで美容も変わる。具体的にはスタイリング剤、主にワックスなどが売れる。
- ベトナムは高度成長真最中で今はダナンに勢いがある。また、医療のレベルも上がっており眼科や歯医者など以前は治療ができない方が治るようになってきた(赤ひげ先生などのおかげ)
- ベトナムに中国、韓国の方が増えている。特に工場など。韓国系の進出が多く、大きなモールも今後展開する予定。
- ベトナムの富裕層は子供への投資を惜しまず教育熱心であり海外の大学へ進学させる傾向がある。
- いい子(若手)を育てようと考えた場合ローカルにリクルートしに行く必要性がある。 (ベトナム語はやはり必要)
サロン情報
- 給料は手渡しで支給
- サロンスタッフについて、日本人、ベトナム人共に採用していたが今はベトナム人オンリー。理由としてベトナム人顧客を取れるサロンにしたいから。日本在住のスタッフには実際のホーチミンを見せて後進国のイメージを消す努力をしている。
- アジア圏のどこに出店をしようか検討していた際、上海、韓国、フィリピン、タイも考えたが国の体制が難しいこと、あとは日本側へスタッフを送ることを考えて東アジアでは一番日本人に似ている(外観も含め)ベトナムがふさわしかった。アジア№1はシンガポールであると思う。しかし物価があまりにも高いことでベトナムへ移る人もいる。
その他
- 今の若い方は世界を見ず日本を出ない。親も反対する。今後海外と日本の交換留学制度などを実施しても良い。アシスタントが美容業界からいなくなってしまうことも起こりえるので、今から準備のため海外にヘアサロンをオープン。
- 日本の細やかな技術はNYのように単価を上げられる様になるかが課題。
(10万円のダブルカラーなど) - 日本の資本流出、土地や利権が他国の企業に奪われている(北海道や沖縄)
- 東京新宿区も外国人比率が113%を超え暴動の危険性も孕んでいる(成人式の40%は外国人)
ベトナムでもデモが起こり、経緯は政権内に中国系の2世3世が入り中国企業の誘致流入が起こる可能性があることから - 日本人そして日本企業の成長できるスキームを確立する必要性がある
J-first Tokyo/高田氏
- 元々ベトナムロレアルとの関係で出店。認可の関係上半年間はスタッフ教育に尽力されていた。店舗も完成後ライセンスが下りてない為営業はせず半年間スケルトンで店を使用。
- ベトナムの法律は常に変化する。最近の出来事のひとつとしてベトナムドンの日本への持ち込みなど規制がかかり出国に苦労する事があったので常に気をつけている。
VAMP Hair Line/岩田壮司氏、YASU氏
VAMP Hair Line岩田様は、都内有名サロンに10年間在籍していたが奥様のご両親の縁でベトナムへ渡越し、ローカル美容師に技術指導を行いまた日本の美容を普及させるために2009年にサロンをオープン。当時日系サロンの先駆けであったそうです。また弟のYASU様も都内有名サロンに10年勤務され、その後仲間と札幌にサロンを出店。その後、兄の岩田様がベトナムハノイ出店をサポートし、YASU様がその店を一人で3年間営業。その時は日系企業の社員が住んでいるレジデンスの2Fで、カット料金は5千円だったとのことです。その後、ハノイのお店は閉じ、YASU様は世界を放浪。今では2店舗を兄弟2人で運営しております。
アメリカの州制度のように区轄によってビジネスライセンスが違い、また外資企業なのか欧米企業なのかローカル企業なのかで必要な資本金が違ったり、また担当官によってルールが違ったりするので出店時には苦労したそうです。
また美容の領域が決まっており、顔から上でビジネスが出来るのが美容室、顔から下はエステティックサロンの領域との事で、一般的なベトナム人女性は毛を剃る文化がなかったりまた髪を洗っても乾かさない人が多い等、日本のようにケア文化がまだ成り立たないのでまだまだ啓蒙の余地はありそうです。男性に関してはまだまだ外見への関心も低く、市場としては小さいとのことでした。ただ、海外からの情報がどんどん入ってきているため、この先5年10年では様変わりしているかもしれないと言われていました。
ベトナムの方の印象として、女性は非常にまじめで勤勉であること、一方で男尊女卑の考え方はまだまだ根強いとのことでした。
ご兄弟2人とも非常に仲が良く助け合ってサロン運営を行っているとの事で、ベトナムでの苦労話や今後のビジョンを伺いながら皆で楽しく会食させていただきました。