現地美容学校視察 報告
2019年10月15日(火)
ベトナム市街にあるSanko Gakuen International(現地美容学校)においてレクチャーを受けた。
学校情報
- 三幸学園グループとして2015年に6年がかりで4つのライセンスを取得(ネイル、エステ、メイク、ヘア)。100%外の美容職業訓練校。ほかに日本語学校、人材派遣業のライセンスも持つ。
- 三幸グループの専門学校教育の教育システムを習得したスタッフによりベトナム人に向け指導、学校運営を行う。
- ヒアリング 代表取締役 前田篤胤氏
外資系企業を取り巻く環境・美容市場
- ベトナム社会主義共和国=明るい社会主義、とはいえ教育に携わる人物の通信はすべて傍受されている。
- 外資100%出資は可能だが、政府からの圧力や監視が強く、単独での企業や運営は負担が大きい。政府とコンタクトできる現地交渉人、弁護士、会計士などの存在が必須で、カウンターパートナーがいることが望ましい。
- 大学卒業後の就職率は40%弱。国家として教育に力を入れているが歯車が噛み合わないのが現状。大卒でワーカーになるよりは専門職を、と考える人が増えている。
- 女性の結婚出産後の復職率はほぼ100%。若くしての結婚出産が多いのでダブルインカムであることが大前提。
- 少し前まで美容の仕事の地位は低かったが、近年は意識が変わってきている。
- ベトナム人の化粧品購入金額は、2017年からの5年間で5倍になる見通し。生徒の持ち物も海外製が増えるなど、変化してきた。
(例:広報部長ガーさんの化粧品購入金額 10年前0円/月→現在4,000円/月) - 美意識は劇的に高くなっている。一方で本来ナチュラルビューティを好むはずのベトナム人が韓国文化の影響を受け、美容整形や濃い化粧などに走る傾向も見られる。
- 日系サロンは増え続けているが、日本人のみをターゲットとするサロンは撤退している様子。富裕層のベトナム人顧客をいかに獲得できるかがターニングポイント。
- 教員になるには国で定められた師範ライセンスが必要。
学校の特徴
- ベトナムでの開校の理由は、18歳人口が激増している国であること、また現地法人より美容学校としての提携申し入れがあったこと。
- 現在生徒数約200名。男女比:女性90%、男性10%(ヘアで若干名)。
コース比:エステ・ネイル70%、ヘア・メイク30%。入学は随時(入学者が多いのは2月~4月)。 - 前述の4つのコースのうち、ヘアコースは一番不人気。理由は国家資格が必要ないため。修行先で技術が向上すれば独立が可能。
- エステコースが人気の理由は、観光立国のため、スパのオーナーになりたいという意向が多い。
- ネイルコースの受講生の多くは、アメリカ西海岸でトップネイリストを目指す。日本人のプロネイリストを招聘したことも人気の理由のひとつ。
- メイクコースは美容部員としての就職やセルフメイクの需要。
- 短期大学との提携も多数で60人進学。美容を一生の仕事にしたいという生徒が増加。
- エステのライセンスを取るのが非常に困難な環境の中、エステおよびネイルにてプライベートレッスンを実施。
- ヘアコースのカリキュラムは週3日、6か月間。
- 日本のテキストをコマ数に合わせて抜粋、ベトナム語に翻訳して使用。テキストは授業後に回収、学校外への持ち出しは禁止。
- コンテストなど日本校との交流も盛ん。
- 卒業後は多くの生徒は開業を目指すが、日系サロンへの引き合いも多い。
- ゆくゆくは卒業生がクローズドマーケットでメイドインジャパン製品を販売し、利益を得られる仕組みを作りたい。
- 日本語学校では日本語能力検定(JLPT)受験に向けて指導を行う。
- ベトナム人労働力を三幸学園で受け入れ日本企業に派遣する人材事業も展開。化粧品製造については、「技能実習制度」にて化粧品製造業の仕上げ工程および梱包の業務は可。また、大学または短大卒業者は開発や海外マーケティング、通訳などの職種に就くことが認められている。