ベトナム経済市場レクチャー
2019年10月17日(木)
JETROハノイ事務所において、アドバイザー北嶋誠士氏に概要と美容市場についてレクチャーを受けた。
JETROとは
貿易・投資促進と発展途上国研究を通じ、日本の経済・社会の更なる発展に貢献する事を目指している。
ハノイ事務所のアドバイザーが受ける年間相談件数は700~800件。
ベトナム基本情報
面積約33万㎢ 人口9,621万人 1人当たりGDP2,587㌦ 民族キン族約90%
社会主義国 共産党一党体制 南北に気候・歴史・気質・経済力の違いあり。
南北の経済格差
ベトナムは縦に長く、大きく北部・中部・南部の3つの地域に分かれ南北の経済格差がある。小売り・サービスの売上額や工業生産額と言った経済規模はホーチミンのある南部(面積比19%)で50%強を占める。
日系企業進出の南北の特徴
在ベトナム日本商工会議所の会員数は1,838社(2018年現在)あり北部のハノイ723社・中部のダナン127社・南部のホーチミン998社。
南部は内需型の食品メーカーやコンビニ・イオン等の商業施設の進出が多いのが特徴。北部は二輪・四輪やOA機器産業が中心。中部は最近はITや観光・外食業が主となっている。
マクロ経済の動向
ベトナム経済は絶好調。2018年の経済成長率は7%を超えた。インフレも3.5%と安定している。貿易収支も黒字。
外国企業の進出動向
外国企業の直接投資の場合、投資の認可が必須。2007年のWTO加盟を契機に世界中の企業が進出を開始し2018年には3,046件が新規で認可を得ている。その中で、日本企業は新規429件、拡張201件併せて630件の認可を受けている。業種別では、製造業、小売・卸売、コンサル、ITの順となっているが、近年は、製造業のシェアが減少し、卸売り(BtoB)が伸びてきている。これは、ベトナムを市場として捉える傾向が強まっている証左である。国別に見ると、大型案件(ハノイ市でのスマートシティの建設)もあり、認可額は日本が7,989百万ドルで一位となっているが、件数は韓国が1,446件と全体の3分の1を占め圧倒的に多い(2018年)。
投資環境の現状
日系企業によるベトナムの投資環境への評価が3年前と比べ変化している。ジェトロが行った日系企業へのアンケート調査によると、3年前は「人件費の安さ」が最大の投資メリットであったが、現在は「市場規模・成長性」が最大の投資メリットと捉えられており、生産拠点としての立ち位置から売先・市場としてのベトナムへ企業の見方が変化してきている。
過去10年の消費の変化
家計の年間可処分所得のボリュームゾーンは2500㌦~5000㌦だが、ハノイやホーチミン市の都市部を中心に15,000㌦以上の中間所得層が増えて来ており、消費活動が活発になっている。政府統計に基づいて、ベトナム人の消費支出が2006年から2016年の10年間で何倍になったかを計算すると、外食6.2倍・旅行4.2倍・教育3.8倍・スポーツ娯楽3.6倍・衣服3.4倍・ヘルスケア3.2倍・家具2.7倍、全体で3.9倍となっている。外食と旅行が伸びているのが分かる。実際、国内旅行者の延べ人数は2006年の1,800万人から2018年は8,000万人に大幅増となっている。また、ハノイでも外食を楽しむ人が増え、日本食がベトナム人に浸透してきている。日本食レストランはハノイ市内で約300店舗はある。
理美容サービスの状況
ハノイ市の402人へのアンケート調査によると、理美容サービスを利用する割合は約80%。ヘアーサロンの1回あたりの支出額は1,000円前後が多いが、60万ドン(約3,000円)以上を使う層も一定数(14%)あり、ベトナム人が8割を占める日系サロンもある。
化粧品市場の状況
貧しい時代は化粧する習慣は余りなかったが、所得の上昇で化粧をする人が増えている。上記のアンケート調査によると化粧品の購入率は87%となっており1回あたりの支出額は2,000円前後が多い。購入場所はスーパー・コンビニが多く、次いで路面店舗、大型商業施設の順となっている。生産国はベトナム・韓国・日本の順となっている。メイク・コスメ共に人気があるのは韓国。ドラマやK-POP等、韓国文化がかなり輸入されている結果と思われる。